バイヤー・ビリガー酸化(Baeyer-Villiger Oxidation)【反応機構も解説】

化学
baeyer-villiger-1

バイヤー・ビリガー酸化とは?

 

ケトンとペルオキシカルボン酸(過カルボン酸)の反応によって、カルボニル基が酸化されることによってエステルが生成される反応です。

上記のCH₂Cl₂は溶媒として用います。

反応の歴史

1899年ドイツにおいて、ミュンヘン大学教授のJohann Friedrich Wilhelm Adolf von Baeyer(1835~1917)とBASF社のVictor Villiger(1868~1934)により発見されました。

環状ケトンにペルオキシ一硫酸カリウムの反応させると、ラクトンが生成することを報告しました。

反応機構

step1

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過酸は非常に強力な酸なため、ケトンのカルボニル酸素の非共有電子対が過酸の水素を引き抜きます。

これによって、より正に帯電したカルボニルと反応性の高いペルオキシカルボン酸の陰イオンが生成します。

 

step2

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正に分極したカルボニルにペルオキシカルボン酸陰イオンが求核攻撃し、不安定な環状の遷移状態となります。

 

step3

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step2で生じた遷移状態が炭素の転位を伴い、エステルが生成します。

 

ここで、R¹とR²の両方が転位することで2種類の異なる生成物が得られると考えられますが、実際は1種類が選択的に得られます。

理由は、置換基の転位のしやすさを示す転位傾向にしたがって

メチル < 第一級 < フェニル ≦ 第二級 < 第三級

となるので生成物は転位傾向に依存します。

反応例

具体的な反応例を紹介していきます。

ケトンとm-CPBAの反応

ケトンとメタクロロ過安息香酸(m-CPBA)の反応について解説していきたいと思います。

 

step1:ケトンの非共有電子対がm-CPBAの水素を引き抜きます。

baeyer-villiger-5

step2:正に分極したカルボニル炭素へ攻撃します。

baeyer-villiger-6

 

step3:炭素の転位を伴う分解反応が起こります。

baeyer-villiger-7

反応の注意点

バイヤー・ビリガー酸化(Baeyer-Villiger Oxidation)においては、原料としてペルオキシカルボン酸(過カルボン酸)を用います。

そのため、金属粉などと反応し爆発も危険性があることに注意してください。

 

参考書籍

基礎

ビギナーズ有機化学第2版 [ 川端潤 ]

標準

ボルハルトショアー 現代有機化学 上 / K・ピーター・C・ヴォルハルト

現代有機化学(下)第6版 [ K.ピーター・C.ヴォルハルト ]

応用

ウォーレン有機化学(上)第2版 [ ジョナサン・クレイデン ]

ウォーレン有機化学(下)第2版 [ ジョナサン・クレイデン ]

参考文献

1.https://ci.nii.ac.jp/naid/110006281006/

2.http://ir.sioc.ac.cn/handle/331003/27637

3.https://ci.nii.ac.jp/naid/10003647144/

実験例

ScienceDirect

関連反応

Hell-Volhard-Zekinsky反応

化学有機化学
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